専門書や論文などの場合

速読法というのは、読む本の種類によって方法論が全く違ってきます。というのも、物語を例にとれば、読む目的はその内容を楽しむことにあるわけで、しかもそれが推理小説だとすれば、最初から順を追って読み進めなければ、その面白さが台無しになる危険性が極めて高いからです。速読法は、1から10まで順番を崩さずに読むとは限らない技術なので、そのあたりの事をしっかり理解しておかなければ、本をただ速く消化するだけのものに成り下がり兼ねないのです。速読法の根底にある意義は、そんな事ではないはずです。

 

では次に、専門書や論文などの読書について考えてみましょう。このような書物の場合は、物語と違って、すべての内容を必ずしも読破する必要があるとは限りません。というのも、こういった本を読む目的の多くは、「自分の現在行っている作業の補填」にあるからです。専門書や論文などを読む一番の動機は、何かがわからないからその本によってその部分の知識を補ったり、必要な文献を抜き出したりすることにあるからでしょう。そのような場合は、必ずしも1から10まで全てを読む必要はありません。

 

専門書や論文を読む際、まず初めに自分の目的をはっきりとさせる事が大切です。そして、目次をしっかり確認して、その目的を達成できると思われる項目を探します。読む書物がこれらの場合、どれだけ速く、正確に目次を把握するかという点が重要なポイントとなります。自分の目的に沿った項目を目次の中から見つけ、まずはその部分だけを読むようにしましょう。